◆関節可動域測定方法

基本肢位:気を付けの姿勢で直立したときの各関節の肢位を0度とした姿勢を基本肢位と呼びます。

良肢位(機能的肢位):関節が動かなくなった場合に、日常生活動作を行ううえで最も支障の少ない肢位を良肢位と呼びます

上肢測定

部位名

運動方向

参考可動域角度

基本軸

移動軸

測定肢位および注意点

参考図

肩甲骨

屈曲

20

両側の肩峰を結ぶ線

頭頂と肩峰を結ぶ線
伸展 20

挙上

20

両側の肩峰を結ぶ線

肩峰と胸骨上縁を結ぶ線

背面から測定する。

引き下げ
(下制)

10

屈曲
(前方挙上)

180

肩峰を通る床への垂直線(立位または座位)

上腕骨

前腕は中間位とする。体幹が動かないように固定する。脊柱が前後屈しないように注意する。

伸展
(後方挙上)

50

外転
(側方挙上)

180

肩峰を通る床への垂直線(立位または座位)

上腕骨

体幹の側屈が起こらないように90゜以上になったら、前腕を回外することを原則とする。
→その他の検査法参照

内転

外旋

60

肘を通る前額面への垂直線

尺骨

上腕を体幹に接して、肘関節を前方90°に屈曲した肢位で行う。前腕は中間位とする。
→その他の検査法参照

内旋

80

水平屈曲

135

肩峰を通る矢状面への垂直線

上腕骨

肩関節を90°外転位とする。

水平伸展

30

屈曲

145

上腕骨

橈骨

前腕は回外位とする。

伸展

前腕

回内

90

上腕骨

手指を伸展した手掌面

肩の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。

回外

90

屈曲(掌屈)

90

橈骨

第2中手骨

前腕は中間位とする。

伸展(背屈)

70

橈屈

25

前腕の中央線

第3中手骨

前腕を回内位で行う。

尺屈

55

手指測定

部位名

運動方向

参考可動域角度

基本軸

移動軸

測定肢位および注意点

参考図

母指

橈側外転

60

示指(橈骨の延長上)

母指

運動は手掌面とする。
以下の手指の運動は、原則として手指の背側に角度計をあてる。

尺側内転

掌側外転

90

運動は手掌面に直角な面とする。

掌側内転

屈曲

60

第1中手骨

第1基節骨

伸展

10

屈曲

80

1基節骨

1末節骨

伸展

10

屈曲

90

第2〜5中手骨

第2〜5基節骨

その他の検査法参照

伸展

45

屈曲

100

第2〜5基節骨

第2〜5中節骨

伸展

屈曲

80

第2〜5中節骨

第2〜5末節骨

DIPは10°の過伸展をとりうる。

伸展

外転

第3中手骨延長戦

第2・4・5指軸

中指の運動は橈側外転、尺側外転とする。
その他の検査法参照

内転

下肢測定

部位名

運動方向

参考可動域角度

基本軸

移動軸

測定部位および注意点

参考図

屈曲

125

体幹と平行な線

大腿骨(大転子と大腿骨外顆の中心を結ぶ線)

骨盤と脊柱を十分に固定する。屈曲は背臥位、膝屈曲位で行う。伸展は腹臥位、膝伸展位で行う。

伸展

15

外転

45

両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線

大腿中央線
(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)

背臥位で骨盤を固定する。下肢は外旋しないようにする。内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上して、その下を通して内転させる。

内転

20

外旋

45

膝蓋骨より下ろした垂直線

下腿中央線
(膝蓋骨中心より、足関節内外果中央を結ぶ線)

背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。
骨盤の代償を少なくする。

内旋

45

屈曲

130

大腿骨

腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)

屈曲は股関節を屈曲位で行う。

伸展

屈曲(底屈)

45

腓骨への垂直線

第5中足骨

股関節を屈曲位で行う。

伸展(背屈)

20

足部

外がえし

20

下腿軸への垂直線

足底面

股関節を屈曲位で行う。

内がえし

30

外転

10

第1・第2中足骨の間の中央線

同左

足底で足の外縁なたは内縁で行うこともある。

内転

20

母指(趾)

屈曲

35

1中足骨

1基節骨

伸展

60

屈曲

60

1基節骨

1末節骨

伸展

足指

屈曲

35

第2〜5中足骨

第2〜5基節骨

伸展

40

屈曲

35

第2〜5基節骨

第2〜5中節骨

伸展

屈曲

50

第2〜5中節骨

第2〜5末節骨

伸展

体幹測定

部位名

運動方向

参考可動域
角度

基本軸

移動軸

測定肢位および注意点

参考図

頚部

屈曲(前屈)

60

肩峰を通る床への垂直線

外耳孔と頭頂を結ぶ線

頭部体幹の側面で行う。

原則として腰かけ座位とする。

伸展(後屈)

50

回旋

左回旋

60

両肩の肩峰を結ぶ線への垂直線

鼻梁と後頭結節を結ぶ線

腰かけ座位で行う。

右回旋

60

側屈

左側屈

50

第7頚椎棘突起と第1仙椎の棘突起を結ぶ線

頭頂と第7頚椎棘突起を結ぶ線

体幹の背面で行う。
腰かけ座位とする。

右側屈

50

胸腹部

屈曲(前屈)

45

仙骨後面

1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線

体幹側面より行う。
立位、腰かけ座位または側臥位で行う。股関節の運動が入らないように行う。その他の検査法参照

伸展(後屈)

30

回旋

左回旋

40

両側の後上腸骨棘を結ぶ線

両側の肩峰を結ぶ線

座位で骨盤を固定して行う。

右回旋

40

側屈

左側屈

50

ヤコビー(Jacoby)線の中点にたてた垂直線

1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線

体幹の背面で行う。
腰かけ座位または立位で行う。

右側屈

50

その他の検査法

部位名

運動方向

参考可動域
角度

基本軸

移動軸

測定肢位および注意点

参考図

外旋

90

肘を通る前額面への垂直線

尺骨

前腕は中間位とする。肩関節は90°外転し、かつ肘関節は90°屈曲した肢位で行う。

内旋

70

内転

75

肩峰を通る床への垂直線

上腕骨

20°または45°肩関節屈曲位で行う。立位で行う

母指

対立

母指先端と小指基部(または先端)との距離(cm)で表示する。

外転

第3中手骨延長線

大2・4・5指軸

中指先端と2・4・5指先端との距離(cm)で表示する。

内転

屈曲

指尖と近位手掌皮線または遠位手掌皮線との距離(cm)で表示する

胸腹部

屈曲

最大屈曲は、指先と床との間の距離(cm)で表示する

顎関節計測

顎関節

開口位で上顎の正中線で、上歯と下歯の先端との間の距離(cm)で表示する。
左右偏位は、上顎の正中線を軸として、下歯列の動きの距離を左右ともcmで表示する。
参考値は、上下第1切歯列対向縁線間の距離5.0cm、左右偏位は1.0cmである。


用語集へ戻る