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よくみられる代表的な病気について説明します。
介護保険制度で定められている特定疾病にはをつけました。
骨折骨粗鬆症脊髄損傷慢性関節リウマチ両側の膝関節または股関節の著しい変をともなう変形性関節症脊柱管狭窄症後縦靭帯骨化症骨折をともなう骨粗鬆症筋ジストロフィー肺炎誤嚥性肺肺気腫喘息肺結核インフルエンザ慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎)心不全不整脈狭心症心筋梗塞高血圧脱水症閉塞性動脈硬化症消化管潰瘍逆流性食道炎肝炎胆石便秘症脳血管障害慢性硬膜下血腫パーキンソン病てんかん認知症初老期の認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症など)筋萎縮性側索硬化症(ALS)シャイ・ドレーガー症候群脊髄小脳変性症腎不全尿路結石膀胱炎尿失禁前立腺肥大疥癬白癬帯状疱疹眼底出血白内障緑内障老眼早老症(ウェルナー症候群など)糖尿病糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症高尿酸血症(痛風)高脂血症(高コレステロール血症)更年期障害子宮筋腫子宮癌腟炎白血病MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)食中毒0−157(腸管出血性大腸菌)梅毒AIDS加齢による身体の変化
◇病気について
骨格系の病気
1.骨折
骨が損傷した状態です。損傷した部位の疼痛、腫脹、運動制限がおこります。安静により治癒するものから、手術により整復が必要なものまで程度はさまざまです。いわゆる“ヒビ”も骨折です。
高齢者では、転倒によって大腿骨頚部を骨折するケースが多く、転倒を防ぐ環境づくりが必要です。

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2.骨粗鬆症
骨の中のカルシウムが不足して、もろくなった状態です。わずかな衝撃で骨折しやすくなります。
女性は閉経すると女性ホルモン(エストロゲン)が不足するため、骨粗鬆症が進行します。

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3.脊髄損傷
多くは転落、墜落などにより、骨折にともないおこります。
損傷される部位や程度により、様々な症状を示しますが、受傷後、急性期は脊髄ショック期とよばれ、損傷された脊髄髄節以下の全知覚が脱失し、深部腱反射、表在反射が消失し、弛緩性麻痺を示します。

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4.慢性関節リウマチ
関節と周囲の組織を侵す病気です。
関節の腫れと痛みが特徴です。進行した場合、関節の破壊や変形がおこります。

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5.両側の膝関節または股関節の著しい変形をともなう
    変形性関節症
関節軟骨の変性と軟骨への負担が、骨増殖、関節変形をもたらした状態です。
中年期以後の女性に多く、肥満と関係があります。
歩行時の関節痛と運動制限がおこり、進行すると安静時にも疼痛がおこります。

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6.脊柱管狭窄症
脊髄が通っている空間を脊柱管と呼び、後縦靱帯骨化症や椎間板ヘルニアなどにより、脊柱管が狭められた状態です。
痛みやしびれがでたり、歩くことができなくなります。

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7.後縦靭帯骨化症
脊椎の後縁を連結している靭帯の骨化により、脊柱管の狭窄をきたす病気です。
上肢のしびれや疼痛で始まることが多く、進行すると下肢のしびれ、知覚低下、尿失禁などがおこる場合もあります。

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8.骨折をともなう骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨からカルシウムなどの骨塩が減少して、骨組織がもろくなった状態で、閉経後の女性におこりやすく、骨折しやすくなります。

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筋肉系の病気
1.筋ジストロフィー
筋肉に進行性非炎症性の変性が生じ、筋力低下、筋萎縮がおこります。
重症型(デュシェンヌ型)と良性型があります。
デュシェンヌ型は、伴性劣性遺伝で、男性に発症します。
起立困難から始まり、進行すると呼吸筋、心筋にも障害がおよびます。

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呼吸器系の病気
1.肺炎
細菌やウイルスによる感染で、風邪がこじれたりして肺に炎症を生じ、重症になると酸素不足になり、生命にかかわる場合もあります。
手洗いやうがいを行い、規則正しい生活をして、身体の抵抗力をつけることが大切です。

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2.誤嚥性肺炎
嚥下が十分にできず、食べ物や分泌物などが誤って気管に入ってしまう(誤嚥)ことからおこります。
口腔ケアや嚥下訓練など、誤嚥に対する対策が必要です。

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3.肺気腫
肺が過膨張し十分に息を吐ききれず、肺に空気がたまってしまう状態です。
血液中の二酸化炭素が吐き出せない高二酸化炭素血症では、急に多量の酸素を吸 うと呼吸をしなくなる(炭酸ガスナルコーシス)ことがあります。
タバコも原因になります。

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4.喘息
肺へむかう気管支の筋肉が、アレルギー反応などにより収縮し、発作がおこると呼吸困難となります。平常は無症状でも風邪をひいた場合に悪化することもあります。
タバコ、家のほこり、大気の汚染も原因になります。
薬剤(内服薬、吸入)は、常時服用するものと発作時に使用するものがあり、必要な薬を準備しておくことが大切です。

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5.肺結核
近年再び増えてきた感染症です。結核菌に対して抵抗力があるか、結核にかかっているかを調べる検査を、ツベルクリン反応(ツ反)といいます。
抵抗力がない場合にうつワクチンをBCGワクチンといいます。
結核菌は抗酸菌ともいい、酸に負けない性質があります。胃液には胃酸があり、普通の菌は死滅しますが結核菌は死滅しないため、胃液の検査を行うこともあります。

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6.インフルエンザ
鼻腔、咽頭を上気道といい、ここに発生する炎症を上気道炎といいます。上気道炎には、細菌性のものとウイルス性のものなどがあります。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型があり、流行の主役となるのはA型とB型です。ワクチン接種など予防策が重要であり、発病した場合には、すみやかに医療機関を受診します。特効薬もありますが、副作用もあります。何よりも、うがいと手洗いの励行、平常からの健康管理が大切です。

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7.慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、慢性気管支炎、
  びまん性汎細気管支炎)
肺気腫もしくは慢性気管支炎などの病気です。
喫煙者に多く、徐々に気道の狭窄を生じます。
痰を伴った咳と呼吸困難で、進行すると呼吸不全、心不全がおこります。

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循環器系の病気
1.心不全
心臓が十分に働けなくなった状態です。
急におこる場合と慢性的におこる場合があります。

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2.不整脈
心拍数のリズムが乱れた状態です。正常な心拍数は1分間に60〜100回で、規則正しく拍動しています。60回以下の場合を徐脈、100回以上の場合を頻脈といいます。
心臓の電気刺激は、心房で発生し心室へ伝わります。心筋梗塞などでこの刺激経路が障害されると、心室細動(心臓がバラバラな働きをする)などがおこり、やがて心停止してしまいます。このさいには、電気除細動で規則正しい動きに戻すことが必要です。AED(自動体外式電気除細動器)は非常に有効です。
コーヒーなどの嗜好品やタバコも原因になります。内服薬を忘れずに服用します。また、ペースメーカーを入れている人には、携帯電話などは要注意です。

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3.狭心症
心臓の筋肉は、冠動脈から血流を受けています。冠動脈が細くなったりして、この血流が低下したり、心肥大により心臓の筋肉が増加すると、血流が不足しておこる病気です。胸痛や胸部絞扼感(胸がしめつけられるような感じ)などの症状が現れます。
心臓の負担を減らすために、肥満の防止が大切です。
内服薬を忘れずに服用します。心臓の血管を拡げる貼り薬は、身体のどの部位に貼っても効果がありますが、貼る部位のかぶれに注意します。

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4.心筋梗塞
冠動脈が細くなったり詰まってしまい、心筋に必要な血流が流れず心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。
胸がしめつけられるような痛みがおこり、心臓はポンプの働きができなくなるために、血圧が下がるなど、循環動態の急激な変化がおこります。不整脈も出現して致命的となる場合もあります。
迅速な診断と治療が必要です。

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5.高血圧
現在の高血圧の基準は以下です。
  収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg)
至適血圧
120未満
80未満
正常血圧 130未満
85未満
正常高値血圧 130〜139 
85〜89
高血圧 140以上 90以上
軽症高血圧(グレード1) 140〜159 90〜99
中等症高血圧(グレード2) 160〜179 100〜109
重症高血圧(グレード3) 180以上 110以上
脳卒中、心不全、心筋梗塞、腎硬化症など、心・血管疾患を発症する最大のリスクファクターで、万病のもとです。拡張期血圧の高い状態が長年続くと、動脈硬化という動脈が硬くなってしまう状態になります。動脈硬化の予防も大切です。
食事療法(減塩1日6〜7g)、運動療法(歩行、ジョギング、水泳などの有酸素運動)を行います。禁煙、アルコールもひかえて内服薬は忘れずに服用します。

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6.脱水症
体内の水分が欠乏した状態で、全身倦怠感、発熱、意識障害などの症状がおこり進行すると腎機能障害や循環器疾患、呼吸器疾患もおこります。
舌や口腔内が乾燥していないか、皮膚、口唇粘膜の湿潤度のチェックを行い観察します。入浴後などは、十分な水分補給が大切で、重度になると点滴による輸液などを行います。

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7.閉塞性動脈硬化症
動脈硬化のため、下肢などの動脈が閉塞する病気です。
高血圧、糖尿病、喫煙などが動脈硬化をはやめます。
歩行時の下肢の痛み、しびれ、潰瘍、壊死などがおこります。

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消化器系の病気
1.消化管潰瘍
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などがあります。ピロリ菌による感染が原因ともいわれています。放っておくと出血したり、穴が開いてしまったり(穿孔)、狭くなる(狭窄)こともあります。
禁酒、禁煙、内服薬は忘れずに服用します。

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2.逆流性食道炎
胃酸が食道に逆流しておこります。
臥位の場合は、逆流を防ぐために頭部を上げ、上体を起こします。

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3.肝炎
肝炎ウイルス、薬剤、アルコールなどにより生じる肝障害です。
発熱、全身倦怠感などで始まり、重症化し黄疸をおこすこともあります。
ウイルス性の場合、A型は牡蠣などの経口摂取が原因で、B型・C型は感染した血液に触れることが原因となります。感染した食物や血液に接触しないように気をつけます。
ウイルス性の場合は、原因となっている薬剤を中止し、アルコール性の場合は、禁酒します。
治療には、免疫グロブリン、ワクチンの投与などがあります。
 
A型: 経口感染で、伝染性が強く、集団発生することがあります。3〜6ヶ月の経過で治ります。慢性化することはありません。
B型 : 輸血、血液製剤、誤針(針刺し)などによる血液感染や、性交感染、また胎盤・産道を介し、母から子に伝播される垂直感染があります。
C型: 血液感染(新生児の産道感染も含む)がほとんどであり、近年は、輸血血液の抗体検査により、輸血後C型肝炎はほとんど消失してきています。C型肝炎は、慢性化しやすく肝硬変、肝癌に移行することがあります。

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4.胆石
胆道系に形成された結石で、高コレステロール血症(高脂血症)や高ビリルビン血症が原因です。肥満、高脂血症に合併しやすく、右上腹部痛がおこったり、黄疸がおこることがあります。

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5.便秘症
糞便が長時間腸内にたまり、体外に排出されにくい状態です。
摘便、下剤、浣腸が行われます。規則正しい生活、バランスのとれた食事、水分摂取が必要です。

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中枢神経系の病気
1.脳血管障害
脳血管障害は、脳血管の破綻によっておこる病気で、脳卒中と呼ばれます。血管の詰まる病気(閉塞性脳血管障害)と切れる病気(出血性脳血管障害)があります。閉塞性脳血管疾患は、脳梗塞と呼ばれ、脳血栓症と脳塞栓症があります。出血性脳血管疾患は、高血圧により脳の血管が切れる高血圧性脳内出血や、脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血などがあります。
脳血栓症は、脳血管が長年の高血圧、糖尿病、喫煙、加齢、高脂血症などにより動脈硬化をおこし、血管の内腔が狭く血液が流れにくい状態になると、血液が固まり血栓が形成され、脳に血流が運ばれず、脳が壊死してしまうものです。このため流れにくい状態のときに、箸を落とすなどの前兆(一過性脳虚血発作 TIA)がみられる場合もあります。
脳塞栓症は、若者のように動脈硬化のない血管でも、心房細動などのような心臓でかさぶた(血栓)ができる病気があると、かさぶたが飛んでいき突然、血管を塞いでしまいます。このため脳塞栓症は、前兆なしに突然症状がおこります。
高血圧性脳出血は、動脈硬化をおこした血管が弾力性を失っており、高血圧により切れて出血します。出血する脳の部位により、被殻出血・視床出血・小脳出血・脳幹出血などがあります。
脳動脈瘤破裂は、脳底部の脳血管の分岐部に、動脈瘤という血管のこぶが存在する場合に、動脈瘤が破裂して出血します。脳全体はクモ膜に包まれており、出血はクモ膜の下にひろがるためクモ膜下出血と呼ばれ、激しい頭痛がおこります。
どの病気も手遅れになると致命的となったり、重度な後遺症が残ります。

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2.慢性硬膜下血腫
慢性硬膜下血腫は、転んで頭を打つなどのケガの後に、2〜3ヶ月かけて徐々に血液が頭蓋内にたまり、脳を圧迫するため、歩行障害や尿失禁、認知症がおこります。酒飲みの高齢男性に多く、脳梗塞予防薬などの血液が凝固しにくい薬を服用している場合におこりやすく、軽いケガでも注意が必要です。

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3.パーキンソン病
パーキンソン病は、意図しないのに手足がふるえ(振戦)、筋肉が固くこわばり、動作が緩慢となり、前傾姿勢や小刻み歩行、突進歩行などがおこります。中高年に多く、脳内の神経伝達にかかわる、ドーパミンという物質の不足によっておこります。これらは、脳血管障害や脳炎、精神安定剤や睡眠剤などの薬剤でも、同じような症状が現れ、パーキンソン症候群と呼んでいます。

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4.てんかん
大脳神経細胞(ニューロン)の過剰な電気活動が原因です。反復性の発作が慢性的におこります。人口の約1%にてんかん性素因があるといわれています。
特発性(真性)と症候性(脳腫瘍、脳血管障害、脳外傷、脳先天奇形など)があります。
てんかん発作には、全身性のものと部分性のものがあります。

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5.認知症
正常に発達し一度獲得した能力が、後天的な原因によって低下したものです。生活に支障をきたす状態になってしまいます。
わが国の認知症の50%以上は脳血管障害が原因で、20〜30%はアルツハイマー型です。10%は脳血管障害型、アルツハイマー型の混合型です。その他10%はケガや脳炎などが原因になります。
 
脳血管障害型認知症
脳梗塞や脳出血のために、脳細胞の一部が壊死しておこります。しばしば言語障害や片麻痺などをともないます。変化は比較的急激で段階的に進行します。
 
アルツハイマー型認知症
  高齢になれば脳は萎縮しますが、アルツハイマー型認知症では萎縮が著しく、特に記憶に関する部分が障害されると、日常生活に支障をきたします。変化は徐々におこり、ゆっくり確実に進行します。他の病気、行動、精神活動の減退、心の健康状態、周りの環境、社会的孤立などが症状を悪化させます。

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6.初老期の認知症(アルツハイマー病・血管性認知症等)
65歳末満までの初老期に発症する認知症です。
アルツハイマー病、血管性認知症などが含まれます。

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7.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
ALS(アミトロ)ともいわれます。
上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの障害が同時にみられ、徐々に発病する進行性の病気です。
下位運動ニューロン障害は、上肢に強く現れ、母指球などの筋萎縮、筋力低下、筋線維束攣縮、呼吸筋麻痺などがおこります。
上位運動ニューロン障害は、下肢に強く現れ、錐体路症状(痙性麻痺、深部反射亢進、バビンスキー反射など)がおこります。
球麻痺症状として、構音障害、嚥下障害、舌の萎縮、線維束攣縮、顔面神経麻痺などがおこります。
治ることなく進行します。

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8.シャイ・ドレーガー症候群
脳と脊髄の自律神経系を中心に、神経細胞の萎縮を生じる病気です。
排尿障害、立ちくらみなどの自律神経症状から始まり、歩行時のふらつき、言葉のもつれなどの小脳症状や、動作の緩慢、筋肉のこわばりなどのパーキンソン症状が加わります。
進行すると歩行障害がおこります。

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9.脊髄小脳変性症
徐々に進行する運動失調がおこる病気です。
脊髄、小脳などの進行性の神経変性が原因で、遺伝性のものと非遺伝性のものがあります。
病型により異なりますが、歩行障害をきたして、日常生活動作が徐々に失われます。

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泌尿器系の病気
1.腎不全
腎臓の障害がおこり、血液中の老廃物が排泄できず、体内の尿素窒素(BUN)、クレアチニン、カリウムなどが増加します。腎臓は左右に1つずつあり、片側でもしっかり働いていると腎不全になることはありません。腎不全が高度(BUN 100mg/dl以上、クレアチニン 10mg/dl以上)になると、尿毒症となり人工透析が必要になります。また造血のシステムに腎臓が関与しているため、腎障害が高度になると貧血もおこります。薬剤も腎臓から排泄されにくくなるため、副作用が出現しやすいので注意します。

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2.尿路結石
尿路にできた結石などの固形物をいいます。結石のある側の側腹部痛、背部痛がおこり、血尿や頻尿となります。結石が尿道を閉鎖すると、突然、排尿困難や尿閉をきたすこともあります。
さまざまな治療法があります。内服薬は忘れずに服用します。お茶などの水分を多くとり、排泄を促す方法も有効です。

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3.膀胱炎
膀胱内部にできた炎症で、大部分が細菌性であり、尿路系の基礎疾患のない急性 のものと、慢性的になるものがあります。頻尿、排尿痛、血尿、下腹部不快感などの症状がおこります。

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4.尿失禁
意思に反して尿がもれてしまう状態です。尿を出したり止めたりする機能の低下や、膀胱の尿をためる機能の低下などが原因でおこります。咳やくしゃみで急激に腹圧が上がると失禁するもの(腹圧性尿失禁)、尿意がおこると我慢できずにもれてしまうもの(切迫性尿失禁)などがあります。
個人の自尊心に深く影響するため、精神的なフォローも大切です。

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5.前立腺肥大
比較的高齢の男性にみられます。前立腺の肥大により排尿障害がおこります。

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感覚器系の病気
1.疥癬
ダニ(ヒトヒゼンダニ)が原因でおこり、衣服やシーツなどから感染します。症状は激しいかゆみ、入浴や就寝後に激烈になるのが特徴です。皮膚の柔らかい部位、脇や胸部、腹部、男性では陰嚢、女性では乳房下などに発生しやすく、指間にも発生します。特徴は米粒の半分ほどの大きさで、赤い膨らみのある皮疹が多数散在し、時には水疱や膿疱になる場合もあります。皮膚の中に卵を産みつけるために、一度かゆみが治まっても、卵から成虫がかえると再び激しいかゆみがおこります。
根気よく治療することが大切です。いろいろな治療軟膏があり、医師に早めに診察してもらう必要があります。また六一〇ハップの入浴も効果があります。衣類やシーツを高温で洗濯したり、高熱で乾燥させたり、バルサンで部屋の環境整備をしたり、ダニハンター付の布団乾燥機を使用するなど、さまざまな対応が必要です。

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2.白癬
白癬(水虫)は白癬菌と呼ばれる真菌(カビの一種)による皮膚感染症です。足の指の間(趾間)によく発生します。

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3.帯状疱疹
子供のときの水疱瘡ウイルス(水痘帯状疱疹ウイルス)が身体の中にひそんでおり、抵抗力が弱くなったり、何らかの原因で知覚神経に出現して、脇腹などに帯状の湿疹ができ帯状疱疹と呼びます。特徴は、知覚神経に一致した発疹が片側に現れて、決して両側にまたがることはありません。
神経痛のような痛みで始まり、数日後に帯状の皮疹が現れ、びらんや潰瘍が生じます。通常は2〜3週間で治ります。
特効薬がありますが、手遅れになったり高齢者では神経痛が長引くこともあります。特に目の回りに皮疹が出現したときは要注意です。

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4.眼底出血
糖尿病網膜症などが原因で、目の奥にある血管が切れて眼球内で出血した状態です。硝子体出血、網膜出血、網膜下出血などがあります。

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5.白内障
「白そこひ」とも呼ばれ水晶体が混濁して、モヤがかかったように見える視力障害をおこした状態です。外観的には、黒目の部分が白く濁って見えます。暗がりでつまずくなどの視力障害が徐々に進行します。

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6.緑内障
「青そこひ」とも呼ばれ眼圧の上昇した状態で、網膜の視神経が圧迫され、視野障害を生じます。進行すると失明することもあります。

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7.老眼
調整力(ピントあわせ)の減少、喪失により近い距離のものが見えにくくなります。

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8.早老症(ウェルナー症候群など)
ウェルナー症候群は、常染色体劣性の遺伝性疾患で、日本では100万人に1〜3人の割合といわれています。
年齢に比して老化現象が著しく進行する病気で、悪性腫瘍が発生したり、白内障、皮膚の萎縮、糖尿病、動脈硬化症、性機能の低下などが、30歳前後から始まります。

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内分泌系の病気
1.糖尿病
食後、膵臓からインスリンを分泌して血糖をコントロールしています。インスリン分泌障害やインスリン作用の低下によりおこる慢性的な高血糖状態で、長期に及ぶと動脈硬化が進行し、目の網膜や腎臓や神経が侵されます。栄養のとりすぎや運動不足などの生活習慣が原因であることが多く、生活習慣病の一つです。
治療は、適正な体重を維持して、食事療法によりカロリーの摂取を制限すること、運動によりエネルギーを消費することが基本です。その他、内服薬やインスリンを注射する場合もあります。
血糖が高くなると、口渇、多飲、多尿、疲れやすくなるばかりか、意識障害をきたして昏睡状態におちいることがあります。血糖は、空腹時血糖100〜120mg/dl以下が正常で、食後でも200mg/dl以上は要注意です。このため、定期的に血糖値を調べて治療する必要があります。血糖は、食事により変動するために、直前の食事に影響されないグリコヘモグロビンA1C(赤血球に染み込んでいる糖分)を調べることが、日常生活での平常の血糖の状態を見るよい手掛かりとなります。血糖値は、内服薬やインスリン注射により、下がりすぎてしまうと低血糖となり、冷や汗が出たり、意識がなくなることもあります。このため飴玉などを用意して、低血糖状態に注意する必要があります。

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2.糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害
糖尿病の期間が長くなると、腎臓、網膜、神経が障害されます。腎障害は、タンパク尿から始まり、進行すると腎不全になります。網膜症は、進行すると失明します。神経障害は、四肢のしびれ、下痢、便秘、インポテンツなどの原因になります。

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3.甲状腺機能亢進症
甲状腺の機能が亢進して、甲状腺ホルモンが多くなります。甲状腺のある首のあたりが腫れあがったり、眼球が突出したり、脈が速くなったり、手が震えたり、多汗になります。

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4.甲状腺機能低下症
甲状腺の機能が低下して、甲状腺ホルモンが少なくなります。無気力で寒がり、眠りがちで顔がむくんだりします。女性に多く、脈は遅くなります。また、記憶障害なども発生するため認知症と間違えやすい病気です。

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5.高尿酸血症(痛風)
肉などのタンパク質を多く含む食物には、プリン体という物質が多く含まれています。プリン体は、体内で尿酸に分解されて、尿酸は腎臓から排出されます。尿酸が過剰に血液中に存在すると、足指のつけ根の関節などに結晶化して炎症をおこし、関節が腫れ、激しい痛みを生じます。これを痛風といいます。

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6.高脂血症(高コレステロール血症)
コレステロールは細胞や胆汁、ホルモンなどの成分となる大切な物質です。これは食物から摂取したり、体内の肝臓や腸などで合成されます。その量が必要以上に多くなると、血管内にたまってしまい高脂血症となり、動脈硬化の原因となります。
コレステロールには、HDLコレステロールという血管内の余分なコレステロールを排除する善玉コレステロールと、LDLコレステロールという動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールがあります。動物性の油脂は、悪玉コレステロールを増やします。反対に植物性の油脂に含まれる不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす作用があります。積極的に植物性の油脂を摂取するようにします。

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生殖器系の病気
1.更年期障害
閉経前後に女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、不定愁訴と呼ばれるさまざまな身体の不調が出現します。不定愁訴には、頭重感、めまい、動悸、しびれ、発汗などがあります。卵巣を摘出した人は、更年期障害と似た症状がおこることがあります。

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2.子宮筋腫
子宮の筋組織から発生する良性腫瘍です。子宮に発生する腫瘍のうち最も頻度が高く、中年婦人の5人に1人の割合で発生します。貧血、月経困難症、月経過多、頻尿などがみられます。

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3.子宮癌
発生部位により、子宮頸癌と子宮体癌に分けられます。早期は無症状なので、定期的な検診が重要で、初期は不正性器出血(頸癌では接触出血、体癌では閉経後の出血)がおこります。

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4.腟炎
正常な腟内は、感染を防止するデーデルライン桿菌による自浄作用があり、清潔に保たれていますが、ホルモン失調、性交、抗生剤の長期使用などにより炎症を引きおこします。トリコモナス、カンジダ、クラミジア、淋菌などが原因になります。この他に老人性腟炎などがあります。トリコモナス腟炎は黄白色の泡沫状帯下、カンジダ腟炎はヨーグルト様帯下、老人性腟炎は血性帯下がおこります。

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血液・生体防御系の病気
1.白血病
芽球の増殖を示すものを急性白血病、成熟球の増殖を示すものを慢性白血病といいます。
骨髄性とリンパ性に分類され、骨髄性が80%を占めます。
貧血、出血、易感染などがおこります。

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2.MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
メチシリンをはじめとする、多くのβラクタム薬に耐性となった黄色ブドウ球菌のことで、院内感染の原因菌として重要です。第三世代のセフ工ム系を中心としたβラクタム薬の使用により、耐性が誘導され発症します。
抵抗力の低下した人や高齢者に感染しやすく要注意です。
確実な抗菌力を期待できる薬物もあります。

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3.食中毒
細菌や化学物質で、汚染された飲食物を摂取することによっておこり、急性の胃腸炎がおこります。大部分が細菌性ですが、自然毒(フグ、キノコなど)、化学物質(ヒ素、青酸カリなど)によるものがあります。
原因としては、魚介類がもっとも多く、次いで複合調理食品、野菜類およびその加工品の順で、原因菌としては、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、ブドウ球菌、病原性大腸菌、カンピロバクターなどがあります。

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4.0−157(腸管出血性大腸菌)
腸管出血性大腸菌の一種で、毒素により出血性腸炎を生じます。
特徴的な前駆症状はなく、風邪症状に続いて、右下腹部痛と水様性下痢がおこります。嘔吐や38℃台の発熱をともなうこともありますが、はじめから血便がでることもあります。

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5.梅毒
梅毒スピロヘータのうち、トレポネーマによる感染症で、先天性感染と後天性感染があります。
後天性は、性交などが原因ですが、先天性は妊婦が梅毒に罹患しているとき、胎盤を通じ、血行性に胎児に感染すること(垂直感染)によりおこります。多くの場合、胎児は死亡し流産するか、生まれてきた場合でも発育不良となります。
性交渉後3週〜3ヶ月で発症します。

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6.AIDS
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫の担い手であるCD4陽性リンパ球(ヘルパーT細胞)に感染し、この細胞の核内に長期に潜伏し、それを徐々に死滅させ、細胞性免疫不全を生じます。
感染経路は、おもに血液製剤、汚染注射針、性行為で、母子感染もあります。感染源は、血液・精液・腟分泌液・母乳の4つが重要です。
HIV抗体は、感染後4〜8週間して陽性となるため、検査は8週間以降でなければ、正確な結果は得られません。

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◇加齢による身体の変化
 一般には、65歳以上を高齢といいます。高齢者にとって健康とは、何らかの病気をもっていても、ともに生きていくことです。老化とは、人は年を重ねながら成熟していき、その後、時間とともに全身的に退行していく変化です。外観上の変化と生体機能上の変化が見られます。外観上の変化は、老年者の多くの人に見られますが、生体機能上の変化には、個人差があります。
 
外観上の変化
頭 髪: 白髪、脱毛、眉毛や外耳道の毛が長くなります。
皮 膚: しわ、色素沈着(しみ)、張りがなくなります。
歯 : 歯が抜けてしまいます。
爪 : 厚く硬くなります。
姿 勢: 背中が丸くなってきます。
体 格: 肥満または痩せます。
老人臭: 特有の臭いがあります。

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生体機能上の変化
1. 運動機能の変化
  神経系、筋肉系、骨格系ともに衰え、運動機能は低下します。
 1) 神経系
脳の重量が減少(60歳頃からはじまる。CT上では、40歳ごろから萎縮が始まります)し、神経細胞が減少するため、身体の細かい動作を中枢神経に伝える経路と、それを筋に伝える経路、および反射反応が低下したり、認知症がおこります。姿勢の回復が遅くなり、動作が緩慢、身体が不安定となり転倒しやすくなります。
 2)

筋肉系
20歳前後をピークに、加齢とともに低下(40歳頃から急速に低下)し、筋線維は細くなり、痩せた筋肉となります。筋力、持久力が低下して、疲れやすくなります。痩せた筋肉は、水分の貯蔵が減って脱水症をおこしやすくなります。

 3) 骨格系
骨量が減少します。骨粗鬆症になりやすく、骨折もしやすくなります。特に閉経後の女性に多くおこります(女性ホルモンの分泌が減少して骨内のカルシウムが不足するためです)。脊椎の変形や椎間板の変性により背中が丸くなり、姿勢の変化がみられます。麻痺により荷重がかからなくなると、骨はさらにもろくなります。
 
2.感覚機能の変化
  視力、聴力、嗅覚、味覚、皮膚感覚ともに低下します。

1)

視力
水晶体の屈折力の低下、調節力の低下、暗い所ではモノが見えにくくなります(暗順応の低下)。白内障になります。老眼となり文字が読みにくく、疲労感や頭が重く感じます。

2)

聴力
高音が聞きとりにくくなり、次第に中音も聞きとりにくくなりますが、低音はあまり変化しません。一般的に日常生活の会話が聞きとりにくくなります。

3)

嗅覚
鼻腔内粘膜の機能低下(神経終末の消失)により、においに鈍感になります。ガスもれなどの臭いに気づかないと危険です。

4)

味覚
中高年になると、舌の表面にある味蕾の萎縮により味覚は低下し、甘さ、塩味は濃い味でないとわからなくなるため、糖尿病や高血圧に要注意です。

5)

皮膚感覚
触、圧、温、冷、痛覚などの感覚が低下し、発汗機能、皮膚温の調節が不十分になるため、暑さ、寒さ、痛みに対して鈍くなります。
 

3.生理機能の変化
  呼吸器系、循環器系、消化器系、泌尿器系、血液・生体防御系、内分泌系のいずれも機能低下します。
1)

呼吸器系
息をする換気能力が低下し、痰を出しにくくなるので、感冒や肺炎にかかりやすく、症状が長期化します。

2)

循環器系
心機能、心拍出量は低下し、血管は動脈壁が硬くなり、伸展性を失い血圧が高くなります。心臓は肥大し、虚血状態となります。

3)

消化器系
消化・吸収能力は低下します。歯の欠損や咀嚼機能の低下がおこり、嚥下反射も不十分となり、誤嚥しやすくなります。食欲は低下し、下痢、便秘になります。

4)

泌尿器系
腎機能が低下し、膀胱括約筋が緩むため、頻尿、尿もれ、排尿困難などをおこしやすくなります。また、残尿の増加は尿路感染を引きおこします。男性は前立腺が肥大します。

5)

血液・生体防御系
骨髄・造血機能が低下して、貧血になりやすくなります。

6)

内分泌系
ホルモンの分泌が低下し、病気に対する免疫力が弱くなり、ストレスに対する身体の反応が鈍くなります。
 

4. 精神機能の変化
 

記憶力、記銘力(新しいことを覚える)、想起力(記憶を必要なときに取り出す)は低下しますが、長年積み重ねてきた想像力、理解力は低下しません。また知的、情緒的な面は高い水準を保ちます。必要な物の置き場所がわからなくなったり、大事な約束などを忘れるようになります。
 

5. 性格の変化
  自己中心的、保守的、喪失的になります。
1)

自己中心的
考えに柔軟性がなく、自分の考えにこだわりがちになり、入ってくる情報も少なく頑固になります。

2)

保守的
新しいことがなかなか覚えられないため変化を嫌い、今までのやり方にこだわります。

3)

喪失的
社会的疎外、身近な人間の死などによって、多くのものを失っていき、孤独から不安、寂しさを強く感じます。


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